経理スタッフは将来どうなる?AI時代に必要とされるスキルとキャリア戦略

「この先、経理の仕事はAIに取って代わられるのか…」

そんな不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。特に30〜50代の方にとっては、長年培ってきたスキルやノウハウが時代遅れとみなされるのではないかという焦りもあるかもしれません。実際、ニュースや専門家の発言などでは「定型的な処理は機械に置き換わる」と盛んに語られています。

ただ、だからといって「経理の仕事がすべて消える」と結論づけるのは早計です。たしかにAIや自動化が得意とする領域はありますが、人間だからこそ担える高度な判断やコミュニケーション、柔軟な対応が必要になる場面も依然として数多く残ります。

本記事では、最新のAI・自動化技術が経理にどのようなインパクトを与えているのかをわかりやすく整理しつつ、今後の将来性を考えていきます。また、キャリアの軸を見失いがちな中堅世代の方が具体的にどんな行動を取ると良いのか、ヒントとなるポイントを提示します。読み終えた時に「不安はあるけれど、やってみよう!」という一歩を踏み出せるような内容を心がけていますので、ぜひ最後までお付き合いください。


最新技術やAIの影響

AI・RPA・OCR…どんな技術があるのか

経理に関わる自動化の代表格としてまず挙げられるのがAI(人工知能)です。最近のクラウド会計ソフトは、AIによる自動仕訳機能が日常的に使われるようになりました。銀行口座やクレジットカードの情報を連動させると、会計ソフト側が過去の仕訳パターンを学習し、最適な勘定科目を提案してくれます。人間がイチから手入力する手間は大幅に削減され、処理ミスのリスクも下がるのが利点です。

また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も経理の自動化を進める大きな要素です。RPAは、ソフトウェア上での定型的な操作を“ロボット”が代わりに行ってくれる仕組み。たとえばエクセルへのデータ転記や複数システム間のコピペ処理など、決まったルールに従って繰り返す作業を自動化できます。

さらに、AIと組み合わせたOCR(光学文字認識)も注目です。紙の請求書や領収書をスキャンして、手書き文字まで高精度でデータ化してくれるサービスが普及し始めています。紙中心だった経理フローも、少しずつ電子化にシフトし、人間が手打ちしなくてもよい部分が格段に増えつつあるのです。

経理業務を取り巻く変化

こうした技術が導入されると、経理の日常業務には次のような変化が現れます。

  1. 仕訳入力が半自動化
    過去データを学習したAIが自動で勘定科目を判別するため、入力作業は最小限に。経理担当者は、提案された仕訳内容をざっとチェックして承認すればOK。
  2. 請求書処理の高速化
    OCRによって紙書類をデータ化し、RPAが会計システムへの入力を一手に担うことで、月末の大量処理も短時間で完了。残業が減り、ヒューマンエラーも激減。
  3. レポート作成の効率化
    財務諸表や管理会計レポートなど定型フォーマットへの転記はRPAに任せ、経理担当者は分析やアドバイスに注力。

このように、経理の現場は着実にIT化・効率化が進んでいます。しかし一方で、「自分の仕事が減るのでは」という不安を感じる方もいるでしょう。次の章では「実際になくなる可能性が高い業務」と「むしろ広がる役割」について具体的に見ていきます。


将来性の評価

なくなる可能性が高い業務

AIやRPAに任せやすい仕事は、ルールが明確であり、かつ反復的で大量処理が伴う作業です。たとえば、毎日決まった内容をシステムに転記する入力業務や、一定フォーマットへの帳票作成などは、すでに自動化が進んでいる企業もあります。経理における具体例としては、

  • 仕訳の起票(定型パターンが多い場合)
  • 請求書や領収書の情報入力
  • 売掛金や買掛金の消込処理(パターンがはっきりしている)
  • 定期的なレポートや予算実績表の作成
    などが挙げられます。今後もクラウド会計やAI-OCRが普及するにつれて、これらの業務量は減っていくと考えられます。

ただし、それが経理職のすべてを置き換えるかと言えば、そうではありません。定形業務が自動化されればされるほど、イレギュラー処理や判断・調整の必要な部分には人間の介在が不可欠です。また税務や内部統制など高度な専門知識を要する領域はAIが簡単に置き換えられるわけではなく、相互の協力関係が続くでしょう。

新たに生まれる役割

逆に、AI化によって経理スタッフだからこそ活躍できる新しい役割も登場しています。代表的な例は、

  • システム導入・管理のリーダー: AIやRPA、クラウド会計ソフトを運用しつつ、現場に定着させる橋渡し役。
  • データ分析・アドバイザー: 自動化された仕訳データをもとに、経営陣へレポーティングや財務分析を行う仕事。
  • 経営企画との連携役: 経理の視点からコスト削減や利益構造の改善策を提案し、ビジネス全体に貢献するポジション。

AIによる定型処理の圧縮により、時間と労力が浮いた分を「分析や提案」という付加価値の高い業務に充てられるようになります。そこにこそ、人間が持つ思考力やコミュニケーション力が求められます。次章では、こうした新しい時代にあったキャリアアップの方法や具体的な対策について掘り下げていきます。


対策

(1)スキルアップの方向性を見定める

「これからはITスキルが必要」とはよく言われますが、何から手をつければ良いか分からない人も多いでしょう。経理スタッフがまず意識すべきITスキルは、業務に密接に関わるクラウド会計ソフトの操作RPAツールの基本設定など、実務に直結するものがおすすめです。少しずつ触ってみると、「決まった入力を自動化できる」「数字の整合性チェックが楽になる」といったメリットが肌で分かるはず。

また、ExcelマクロやAccessなど、周辺的なツールの習得も有効です。特にVBA(マクロ)を使えば、日常業務の細かな集計作業などを自動化できるので、現場で「この人がいると仕事がスムーズに進む」と評価されやすいでしょう。ITスキルと同時に磨きたいのがコミュニケーション力経営知識。AIが定型処理を担うからこそ、人間にはより上流の提案や説明が期待されます。財務諸表を踏まえた経営陣へのレポート力や、他部門との連携能力があれば、重宝される存在になれるはずです。

(2)キャリアアップ・転職で活路を開く

今の会社でデジタル化が進まない場合、あるいはキャリアの選択肢が少ないと感じるなら、思い切って転職を考えるのも手です。実は、経理の専門知識に加えてAI・RPAの基本を理解している人材は、転職市場で高い需要があります。大企業だけでなくベンチャー企業でも、バックオフィスのDXをリードできる人を求める声が増えているためです。

もちろん、いきなりIT企業のエンジニア職へ挑戦するのはハードルが高いかもしれませんが、「経理×ITサポート」「経理×コンサル」「経理×BIツール(経営分析)」といった掛け合わせの職種なら、比較的移行しやすい場合もあります。転職サイトやエージェントを利用し、どんな求人があるか情報収集をしてみると、自分の可能性が想像以上に広がっていることに気づくかもしれません。

(3)必要となる資格・情報収集のポイント

資格としては、簿記や税理士試験の科目合格など、従来からの経理専門スキルを高めるものが基本です。あわせて、ITを絡めた領域に興味があればITパスポートなど入門的な資格にも挑戦してみると、全体像を理解しやすくなります。
また、外部セミナーやオンライン講座も活用して、RPAやクラウド会計導入の事例を学ぶのは非常に有益です。学んだ内容を社内で試してみる→改善しながら実績を積む→スキルとしてアピールする、このサイクルが回れば、今いる会社にとどまる場合でも十分チャンスを得られます。


まとめ

AIや自動化の進展で、経理スタッフが担ってきた定型作業は確実に減っていくでしょう。数年先には、手作業で仕訳を大量にこなす時代は終わっているかもしれません。ですが、「だから経理職が完全になくなる」という話ではありません。定型業務が省かれる一方で、経理が本来注力すべき専門領域(税務・分析・経営支援など)はむしろ重要度を増します。さらにIT化を支える役割も加わり、スキルを伸ばせば活躍の幅が一段と広がるのです。

  • 今の仕事を見直す: 自動化できそうなルーチンは何か? 逆に機械には任せられない判断や分析はどこか? 自分自身が率先して業務を仕分けしてみる。
  • スキル学習を始める: クラウド会計やRPAの基礎に触れてみる。オンラインセミナーやYouTubeの解説動画で理解を深める。
  • 社内外でチャンスをつかむ: 社内DXプロジェクトへの参加、あるいは転職市場で「経理×IT」の求人を探す。自分の経験+学んだスキルを掛け合わせた強みをアピール。

AI時代は何もしなければ「奪われる側」に回ってしまいがちですが、逆にいえば、技術を使いこなす側になれば新たなチャンスが待っています。30〜50代といえども、豊富な実務経験にITスキルが加われば「AIに負けない経理」として十分戦えるはずです。大事なのは恐れを先行させず、まず試してみる行動力。今が変革期だからこそ、一歩踏み出すことで時代の波に乗れるかもしれません。

ぜひこの機会にご自身のキャリアを見直し、前向きな第一歩を踏み出してみてください。経理スタッフが担うべき新たな役割は、想像以上に豊富です。AI時代であっても、いや、むしろAI時代だからこそ、あなたの経験や知見が輝く場所はきっと見つかるでしょう。応援しています。

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